子ども達の持つ力
目次
ある日の出来事
1年生の男の子たちが仲良く遊んでいます。
ふざけあって楽しく遊んでいるうちに、A君がB君を押す力に力が入りすぎたようで、B君が急に泣き出しました。A君もびっくりして駆け寄ってきます。
B君は、言葉がとても上手な男の子です。泣きながらも、状況を説明し、「ぼくは痛い思いをした!」と訴えます。A君はまだ上手に気持ちを言葉にできないことがあります。でも、言葉を伝えたい様子です。間に入ったスタッフは、余計な口出しをせずに、気持ちの代弁だけお手伝いして、見守ることにしました。
A君「力を入れたつもりはなかった」
B君「A君がわざとやったんじゃないことは分かってる。でも僕は痛くて嫌な思いをしている」
そこへ同じ小学校に通うC君もやってきました。2人の会話を聞いていたようです。
C君「僕も2人とモコプラに帰りたくて探したのに、2人がいなくて嫌な思いをした」
…これはまた、別の話が出てきました!さて、どうするのかな?
2人は、C君の思いを受け止めて、返事をします。
A君「僕はその日の気分で自由に帰りたい。誰にも縛られたくない!」
B君「一緒に行こうと言われてないから、分からなかった。わざと置いてきぼりにしたわけじゃない!言っておいてくれないと分からないよ…」
C君「僕はやっぱり2人とモコプラに帰りたい」
A君とB君は、C君の思いに的確な答えを出せずにいます…。するとB君は、C君ではなく、A君に向かって、
B君「A君は嫌な思いをしていないの?」
と聞いたのです。
自分が嫌な思いをして泣いているのに…なんて冷静で優しい子なのでしょうか!
A君「僕は嫌な思いをしていない、大丈夫!」
そう言って、まだ涙ぐんでいるB君の眼に、ポケットから出したハンカチをそっと当てて、涙を拭いてあげました。そのハンカチが、一瞬靴下に見えて、みんなで大笑い。なんだかほっこり。あんなに泣いていたB君も、一緒に笑っています。
スタッフ「みんなお友達に謝ったかな?」
すると3人は揃って
3人「謝ったし、謝ってもらった!」
と返事します。
…⁉
一体どこで謝ったのでしょうか?
「ごめんね」って言葉、スタッフには聞き取れなかったけれど、子供たちの心には、相手が謝った声が聴こえたのかな。
こんな円満解決もあるんだなぁ、と小さな1年生に教えてもらった気がしました。
さいごに
MOCOPLAでは子どもたちを、「教えないといけない人」ではなく、「様々な力を持っている人」として見守っています。子どもたちにはこんな力があるという紹介です。
もちろん、大人の介入が必要な場面もありますが、子どもたちは力を持った人々です。