中学入試によく出る本 ~小説・物語編~

中学入試の「国語」では、どういうレベルの読解力が求められているのか? 気になる受験生も多いと思います。

そこで、「小説・物語編」・「ノンフィクション系(随筆・論説・説明文系)」に分けて、過去に出題実績のある作品を紹介していきたいと思います。

今回は「小説・物語編」です。

目次

どのような作品が多いのか?

まず、大前提として、小説・物語の場合、入試で好んで取り上げられるのは、「成長の物語」です。つまり、主人公の少年(もしくは少女)が、なんらかの「できごと」(たとえば、家族との不和、いじめ、友人とのけんか等々)を通じて、「精神的に一歩成長する」過程を描いた作品です。

余談になりますが、文章を正しく読めたかどうかをチェックする方法として、「作品の一行要約」をおすすめします。文章を読み終えたら、下記の【例】のように、その内容を、「一行」で説明できるかどうか、試してみるとよいと思います。

【例】

「主人公である少女が、けんかをした友人と仲直りしたことがきっかけで、相手を思いやることの大切さを学んだ」

「主人公である少年が、身近な人の死を経験し、その喪失感を通じて、命の大切さを理解した」

上記の例のように、主人公の成長するすがたが、正しくとらえられていれば、合格です。こうした「要約力」のある生徒は、伸びます。入試問題の作問者は、受験生が、作品の主題を把握できているかどうかを確かめつつ、問題を構成していくものだからです。

中学入試でお目にかかる作品リスト

さて、以下のリストは、中学入試で、頻繁にお目にかかる作品の一部です(一部、今後出題されるであろう、最新作を含む)。今回は、いわゆる「名作」「古典」は除外し、最近のトレンドを追ってみました。

主人公となっているのは、少年・少女が圧倒的に多いのですが、いずれの作品も、オトナが読んで楽しめるものです。けっして、子ども向けに書かれたものではありません。『12歳でありながらも、オトナの感性を合わせ持った子どもであってほしい』。これが、中学受験に関わっている先生方からのメッセージです。

比較的入手しやすいと思われる、文庫形式のものを中心に選んでみました。本来ならば、簡単なあらすじや、表紙の画像ぐらいは添えるべきなのでしょうが、スペースの都合上、ご容赦ください。気になる作家、気になるタイトルが見つかりましたら、ウェブ等で検索してくだされば幸いです。

入試対策のみならず、読書感想文の素材等に、お役立てください。

〇相沢 沙呼 

 教室に並んだ背表紙(集英社)

 雨の降る日は学校に行かない(集英社文庫)

〇青木 和雄

 ハッピーバースデー~命がかがやく瞬間(金の星社)

 ハートボイス~いつか翔べる日(金の星社)

 ハードル~真実と勇気の間で(金の星社)

〇朝井 リョウ

 世界地図の下書き(集英社文庫)

 少女は卒業しない(集英社文庫)

 桐島、部活やめるってよ(集英社文庫)

〇あさのあつこ

 バッテリー(教育画劇・角川書店・角川文庫)

 ラスト・イニング(角川文庫)

 えりなの青い空(文春文庫)

〇朝比奈 あすか

 人間タワー(文春文庫)

 君たちは今が世界(角川文庫)

 彼女のしあわせ(光文社文庫)

 ななみの海(双葉社)

〇阿部 夏丸

 泣けない魚たち(講談社文庫)

 父のようにはなりたくない(講談社文庫)

 峰雲へ(ビープルバックス)

 見えない敵(ブロンズ新社)

〇伊集院 静

 機関車先生(講談社文庫)

 ぼくのボールが君に届けば(講談社文庫)

〇内海 隆一郎

 朝の音(朝日新聞社)

 大づち小づち(河出書房新社)

 人びとの情景(PHP文庫)

 人びとの忘れ物(ちくま文庫)

 だれもが子供だったころ(河出文庫)

〇江國 香織

 こうばしい日々(新潮文庫)

 つめたいよるに(新潮文庫)

 すいかの匂い(新潮文庫)

〇小川 洋子

 偶然の祝福(角川文庫)

 最果てのアーケード(講談社文庫)

 ことり(朝日文庫)

 海(新潮文庫)

 ミーナの行進(中公文庫)

 猫を抱いて象と泳ぐ(文春文庫)

〇恩田  陸

 蜜蜂と遠雷(上・下、幻冬舎文庫)

 夜のピクニック(新潮文庫)

〇角田 光代

 キッドナップ・ツアー(新潮文庫)

〇佐川 光晴

 猫にならって(実業之日本社)

 駒音高く(実業之日本社文庫)

 大きくなる日(集英社文庫)

〇佐藤 多佳子

 黄色い目の魚(新潮文庫)

 サマータイム(新潮文庫)

 一瞬の風になれ(講談社文庫)

〇重松 清

 はるか、ブレーメン(幻冬舎)

 また次の春へ(文春文庫)

 小学5年生(文春文庫)

 その日のまえに(文春文庫)

 半パン・デイス(講談社文庫)

 とんび(角川文庫)

 日曜日の夕刊(新潮文庫)

 青い鳥(新潮文庫)

 ポニーテール(新潮文庫)

 きみの友だち(新潮文庫)

 ロング・ロング・アゴー(新潮文庫)

 くちぶえ番長(新潮文庫)

 星のかけら(新潮文庫)

〇瀬尾 まいこ

 夏の体温(双葉社)

 あと少し、もう少し(新潮文庫)

 卵の緒(新潮文庫)

 温室デイズ(角川文庫)

 幸福な食卓(講談社文庫)

 そして、バトンは渡された(文春文庫)

〇辻村 深月

 島はぼくらと(講談社文庫)

 ロードムービー(講談社文庫)

 家族シアター(講談社文庫)

 サクラ咲く(光文社文庫)

〇中田 永一

 くちびるに歌を(小学館文庫)

〇梨木 香歩

 西の魔女が死んだ(新潮社・新潮文庫)

 りかさん(新潮文庫)

 エンジェル・エンジェル・エンジェル(新潮文庫)

〇まはら 三桃

 白をつなぐ(小学館文庫)

 鷹のように帆をあげて(講談社)

〇宮下 奈都

 つぼみ(光文社文庫)

 よろこびの歌(実業之日本社文庫)

〇森 絵都

 リズム(講談社青い鳥文庫)

 カラフル(文春文庫)

 DIVE!!(上・下、角川文庫)

 アーモンド入りのチョコレートのワルツ(角川文庫)

 クラスメイツ前期・後期(角川文庫)

 永遠の出口(集英社文庫)

〇森  浩美

 家族の言い訳(双葉文庫)

 家族の見える場所(双葉文庫)

 こちらの事情(双葉文庫)

〇椰月 美智子

 しずかな日々(講談社文庫)

 十二歳(講談社文庫)

 14歳の水平線(双葉文庫)

 つながりの蔵(角川文庫)

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